詩投稿掲示板 - 過去ログ [11]

334 : 灯し樹の下で  ケムリ '05/07/19 04:54:53

このままゆらゆらしてたら世界は終わってた
そんなのが最高だって ずっと思ってる
背中に羽根をつけて海を目指す人たちみたいに
むせ返る夏の声と 降り注ぐ蝉の街へ

葉脈をリタリンが駆け抜けていく
鍔迫り合いの痛みが戦場に花を咲かせた
玩具のピストルの弾痕からは真っ白の花が咲いて
吸い上げる幹に緑の痛みが 濃い果実酒のように

眠れ眠れ 銅のうさぎみたいに
青く燃える海に水銀船が幾何学模様を描いていく
波打ち際に落ちた白いワンピースと
麦わら帽子にすがりついて泳ぐ女の子

夜にしか飛ばない鳥の群れが ビル群に着地していく
赤銅の錆に似た虫たちが 五つの足で涙を塗りつけて
嘘つきの唇から揮発していくアルコールのように
吸い上げる痛みに大樹は朽ちていく

灯し樹の下で 女の子は海を見ながら
ゆっくりブラウスを脱いで それから両手を空に突っ込んだ
麦わら帽子をさらった風は 蔦に捲かれてゆっくり腐っていく
葉脈を駆け巡る音の中 灯し樹の下で


- ealis -