かさなる本の重みに耐え
開かれた詩集には
よれた赤い中帯のかたちをしたくぼみが
両面にあった
すこし長い空洞の
そうまるで肺のような
(血管でつむいだ
二つの赤いまゆと
医師は言った)
明かりのつく夜
支えられた体育館の天井に捧げると
彼は云った
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20160811_262_9031p
- ねむのき :
静かで美しい作品ですね。いいなあ。
全体が
>支えられた体育館の天井に捧げると
という行に収斂する構成で、さらに
「支える」と「捧げる」という動詞の合わせ技。
音もそうだし、視線の見あげる動きが感じられるカメラワークですね。
>明かりのつく夜
というフレーズも地味にめっちゃ精確で、
胸がきゅんとなる切ない読後感でした。
久しぶりに短い作品で良いものに出会えて幸せです。 ('16/08/12 04:06:53)
- 園里 :
や、ありがとうございます。
視線の移動という点でみると確かに、下から上へ動いてますね。あまり意識していなかったかも。視点じゃなくて視線というところが面白いです。
精確という言葉、そういう言葉に値するものを書きたいな、と思っているところはあります。 ('16/08/21 19:32:00)
- 赤青黄 :
レス付けたかったのですが、大事なポイントはねむのきさんが抑えてるというか、抑えられてしまったので(正直悔しかった)、他に何もいえることないなと思っていたんですが、もう少しレスが付いてもいいと思う作品だと僕は思うので少し書いてみます。
ただ、はっきり言うと、詩の力の方が強すぎて、感想としても分析としても中途ハンパなレスを以降書いてしまいました。その点については先にお詫びいたします。
*
色々と「下から上」にイメージがグラデーションしながら情景が逆再生されていく感じ。
具体的に言うと、
詩集→肺→血管でつむいだ/赤いまゆ→明かりのつく夜/体育館の天井(の構造)
が巻き戻っていく、天井の構造が「まゆ」や、「肺」のイメージにつながり、つむがれた血管のイメージが詩集に戻っていく、
というのが僕の最初の感想で、僕はそれで殆ど満足してしまったのですが、ちゃんと読んでみると気になる点がいくつかあって、そこについてこれから少し書いていきたい。
色々と分解していこうとすると、なんとなく体感出来るんですが、本当に一つ一つの語、イメージが流れている。知らず知らずのうちに別の言葉に置き換わっていく。同じ形を取りながらその細部が緩やかに別の何かに移行している。というのが、多分直感的に伝わって僕の中にイメージのグラデーションを描き出したのだと思います。
「詩集」とは「支えられた体育館の天井に捧げる」ようなものだ。と言われたような気がしました。
…何言ってるか分からないと思うので、流れを追いながら説明しようと思います。
「重なる本の重さに耐え」た「詩集」にある「くぼみ」とは→「空洞」→「肺」→「まゆ」→「支えられた体育館の天井」
うーん。上手く伝えられない…。「重なる本」「くぼみ」というのをもう少し整理する事が出来れば解釈として提示できるかもしれませんが、今はこれだけにしておきます。
次に「二」のイメージを展開させていきます。
両面→肺→血管でつむいだ/二つの赤いまゆ→後半二連の形
で、そこからこの最後の二連に注目していくと、また色々な差異がみえてくるわけです。
>(血管でつむいだ
> 二つの赤いまゆと
> 医師は言った)
>明かりのつく夜
>支えられた体育館の天井に捧げると
>彼は云った
二つの「いった」の差異、これは繰り返しの防止程度の物なのか、それとも辞書的な意味で分別しちゃった方が解釈として面白くなるのか、は保留にして、取り敢えず「医者」と「彼」っていう話者の設定、ここら辺がなんとなく気にかかります。
肺の話をするために医者を持ってきた、というよりは医者が話した肺の話を思い出したときに、(()で括られているというのは多分想起した証みたいなものだと思う)三連の情景が重なったという事なのかなという感じがします。ゆえに形がこんなに似ているのだという事です。
じゃぁ、「彼」ってなんなんだという感じでもありますが、一連の「詩集」三連の「捧げる」から、本の最初の1頁目とかに賛辞っぽい奴を書く人といったら、つまり詩集をつむいだ詩人であるという事は容易に想像が付きます。
そして最後に、これは本作の一番のキモだと思いますが「支える」と「捧げる」この二つの動詞ってどう捉えればいんだろう、という問題があるわけです。それでこの問題を考えなければいけない時に真っ先に重要になってくるのは「肺」なんじゃないかと思います。
今度は「肺」のイメージを軸にして流れを追ってみましょう。
よれた赤い中帯のかたちをしたくぼみが/両面にあった
↓
すこし長い空洞の/そうまるで肺のような
↓
(血管でつむいだ/二つの赤いまゆと/医師は言った)
↓
明かりのつく夜/支えられた体育館の天井
「肺」という臓器の性質をどう捉えればいいんだろう。肺を取り巻く赤いイメージってどどう表現すればいいんだろう。それが「明かりのつく夜」に落ち着いたのはなんでなんだろう。それでいいと思ってしまうのはなぜなんだろう…
という所で、何か見えそうな感じな所で上手く言葉にできず、多分ここからは語のイメージに対してちゃんと自分なりに意味を付けていく必要が絶対にあるとおもうんですが、それを厳密にやってると本当にこの作品沈んでしまいそうでしたので、中途ハンパではありますが兎に角レスさせていただきました。 ('16/08/23 12:08:23)
- 山田太郎 :
短い。
ボロが出ないようにちんまりまとめているだけ。
長編小説の一行末尾のような、
ただの「雰囲気」でしかない。 ('16/08/24 10:44:32 *1)
- φοιτητής :
一連目が冗長.この作品に関しては,概ね山田氏に同意する. ('16/08/24 11:37:17 *1)
- Kolya :
すごく切実な感じがします。肺というのはとても痛々しい表現だと僕は思いました。体育館の天井はもうあまり思い出せませんが、このイメージがどうしても深刻になる印象を軽くしているんだと思いました。 ('16/08/24 17:30:51)
- 園里 :
みなさん、ありがとうございます。
>赤青黄さん
抑えられてしまった、というの、よくわかります。わたしもよく出遅れていて、むりやり意見を重ねております。で、その先に半歩でも行きたい、っていうのもよくわかるんですよね。受けとめるところを徹底してやってもらっているので、こちらで言えることは少ないのですが、襟を正すところがありました。
>山田太郎さん
そうなんですよね。それは確かに一つの事実であり限界なので、意識のすみに入れておこうと思います。
>φさん
どうしたものやら迷ったので、頭一つで略しました、失礼。一連目に無駄のある感じがしたということなのかな。漢字をどこまで、何を基準にひらがなにひらくかとか、「そうまるで」と重ねる必要あったかなとか、そのあたりは最後まで迷走していました。
>Kolyaさん
どのあたりまでが共有を許されているのかとか、どのあたりからが共有不可能なのかとか、けっこう考えるんですよね。その落としどころが体育館の天井になりました。 ('16/08/26 21:52:58)