お寺の境内は
豆まきを待ち構える
人びとでごった返している
どっちが鬼だか
わからない形相で
老若男女入り乱れて
撒かれる
煎り大豆をひたすら奪い合う
〈福は内 鬼は外〉
取られず地面に
落ちた豆は
地獄の罪人の如く
情け容赦なく
人びとに踏んづけられる
そのたびに
無慈悲な
野蛮さに抗議するように
癇癪も起こせない
癇癪球のような
豆地雷は
ぽんぽん断末魔をあげ
破裂し合い
ささやかな黄粉になる
星雲の爆跡を
思わせる
豆の成れの果てを
僧侶達は箒で
厄を掃き清めながら
黄粉を集め
後でそれを
花壇に撒いておく
春には綺麗に
花壇が華やぐようにと
祈りながら
最新情報
RetasTares
節分黄粉
RetasTares
「りょうこちゃん」
RetasTares
「りょうこ」
「りょうこ」って
脳みそのGスポットで
チチの声がする
机の上に
黒いメタリックな
マウスがあって
その右横のパッドに
白髪が一本落ちていた
その白髪に目をやると
没我してしまい
死者である父が現われて
私の頬に
無精ひげが生えた頬を
すり寄せてくる
「イタイイタイ」と
私がいうと
乱暴にスリズリ
「かわいい奴や」と
ニタニタしながら
余計にすり寄せる
時々私の陰部をいじりながら
「りょうこかわいいのぉ」
「りょうこ気もちええかぁ」
などと口説きながら
親子で気持ちがよくなる
ムニャムニャ
ムニャムニャ
そろそろ
変態プレイに飽きた私が
「あのなぁおとうちゃん
僕はりょうちゅう名前なんやから
女とちがうんやでぇ」
と説教すると
「そんな事ぐらいわかっとるわい」
と開き直り
私の鼻をむにゅっと捻ると
こりもせずにまたもや
「りょうこちゃんバイバイ」
の捨て台詞
それを満足げに言い残したあとは
振り帰ることもなく
必死で肩で嗤いを堪えると
家を片下駄で
飛び出していった