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作品 - 20201116_656_12224p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


絶滅収容所へ

  鷹枕可

毀れた指
滅び行く人間の季節を悼み、
祷りの外に追葬を遂げ損ねて、問う
私は人間か
私は有機機構の一棟の工場か

機械機構の血が熱く滾る
人が人を已める時、
置かれた
静物にも血は通っている
葛藤の均衡にも
無感情の抽象を刻む、世紀よ
心臓の鳥を聴け
病める彼等の為に
そして已む無く咲き揃えられた花垣にも
傷ましき繃帯のなかの喪失を

事象は均しく磁界のなかを巡っている
世界が静止する、固唾の暇も無く
かの静謐にも永続を探せない為にこそ、星星の穹窿よ、拍動を、起せよ、と
実象、
現実にも亡き貴き、
死点を縺れて
種は顕われる
だが誰が落としたのかをかの一滴に問うな
存続にも意志を
巖膚に無き華を
諸君もやがて知るだろうから

喝采と歓声に
独立記念の夢が、夢見られた夢であった、嘗ての、
華に拠り設えられた凱旋門は、
希望を、懐かしく明日を
告白に、暮れて
夜と窓より紡がれる、
叶わなかった、揺椅子を
甘く、眠る未来を振り返るだろう
群衆の花に紛れて
いつか還る、還ると
だから
鐘を見上げて、
私は
私達を迎えるため
現を、
屹度亙るためにこそ、声は

____

独房10‐26号
試薬予想致死量を投与するも過覚醒‐譫妄を予想周期を越え、発現。
拠って処理剤γを投与、16:16 死亡を確認。 

文学極道

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