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作品 - 20201109_550_12216p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


或る庭

  鷹枕可

或る庭、それはわたくしという庭――、


狭量な支配者の気紛れに、
剪定をされた
夢の庭
痴呆者達が
埋葬された百の礎
支配者は礎の花を愉しむ
切り揃えられた百の棘が
異端を貫き、苛む
鍛練をされた兵卒、知的であるが為に痴的な
自己酩酊を及ぼし
百科事典的叡智の底深く、意味深き披瀝を競う
其処には正気を過たぬ狂人達が溢れている
庭の夢にしか延命を叶わぬ
遅滞をした風葬‐遺骸が、
腐り乾き襤褸切の様に躍っている
愛でられる事無く、
或は偏愛を享けた埋葬花が
自を疑わず
狂乱の季節を静やかに秩序として、いる
誰もが叡智の果実と入れ替わる
黄昏時
永続の果を求て
自称詩人達は甘く、正確な葛藤を誇る
それは
痴呆者達の証拠物件
隠匿された自らを遺骸を、
運命は約束を守る
総てが更地に、砂の痕を遺すことなく返ってゆく、
場所に縋り附く、
静謐なもの、狂奔
誰もその刻限を越えることは出来ない
醜き花々よ、
朽ちて返れ
砂へ塩を滴らせ、

:

旧い希望を 掻く
 百の手帖に、
幼年期
   ヤルダバオトが臍なきを憎み
 晩鐘を呑む夕に斃れた
検分の間に間に   
   円錐 
  鏡のなかの溪間へ切開膚をあらため
地平線はただひとつ瞼を瞠る
 蔑視をされた
綴れ織り
闇の窓から手が触れ
  今を限り、絶鳴唱歌に
 裸足としての
ヘルメース薬剤株式会社を嘯き
遺恨の全ては混めてあれ
 葡萄酸を瓶に摘む
   列柱宮を俯瞰してさりゆくものもあるだろう


かつてみどりごを、

ミュシャが見た夢の季節が終り、

闇の褥にかしずく枯れた花をかき集めて
蘇える幾兆かの命を吹く死の水門を上げるかれら委縮して燃える渺渺たる膏海へ
私書箱に花享ける
蓚酸に錆び朽ちて
余りに滑らかな人工衛星 
鳥瞰の嶺、
遠近に麓を
闇ばかりなる静物へ生花を挿してひとは返らず
旋廻するもの、運命
風車塔の悲鳴を
かつて咽の咽喉の喉に追い落し
石灰の嬰児製粉場に塵に
焉んぞ平均の花は滾り已まぬか

文学極道

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