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作品 - 20200810_140_12052p

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ウェーブ

  鈴木歯車

本当の距離は距離の顔をしていないから
もう向かいの歩道へ渡らないだろう
手を振る あるいは示すだけで
隠し持っていた指先を開けば
すこやかな分岐が生まれるようだ

切り離したルートは今でも
乾いた土地の 無人の駅から走り出す
乾いたひとりひとりの人を待ってるのか
取りまく時間と距離は日に日に追いつけなくなる
だから今まで捕まえなかったものは
これからもそのままなんだと
打ち明けるのはとても難しくなってしまった

みんなが公園の砂場に沈むことについて
なんとなくぼくはばたついてみたけれど
抵抗はそれ自体が勝つことがないことによって
あくまで抵抗でしかない
数ある震えのひとつに過ぎないと
なんとなく多数決で決まってしまった

今でもぼくの抵抗は
水平線の向こうで膨らんでいるらしい

文学極道

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