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作品 - 20200801_912_12032p

  • [佳]  革命 - 鷹枕可  (2020-08)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


革命

  鷹枕可

あらゆる敗れた革命に附いて、僕は考える、
トロッキストの襤褸靴が、凍て附く冬に嬲られている
或る理想が、内燃機関として国家に楔を撃ち込む時
実現をされた理想国家が、
もはや管理と掌握をしか企図しない、意味を
僕は 考えている
肉体を、機関に喩え
機関に軋む蝶番の、寒い飛翔が
航空爆撃機が検死官の、
血に、機械油に塗れた指に摘出される時、
その思想の遺伝子が
実験社会に国旗の血を掲げる、理由について
民族と言う記念像、
奴隷制は共同体に拠って常態化され、
抑圧と懲罰
閉塞された、監視と命令
人を自ら生存する者へと足らしめるものが
その思弁にしか存在をしないのならば
僕も、君も、君たちも、
内面化された個の国家を、建築することも、一瞬たりとて存続に適う、
強度を、闘争下に留保する事さえ敵わなかったのだ
五月の学生達が、手錠に掛けられ
理想を剥ぎ取られた、
学舎は平板化の為の一装置となり、
夏を逸れた蝉も、水甕も、アスファルトも、
自転車修理屋の軒先も、社交ダンス練習場も、英会話教室看板も
皆数値化され、
貨幣と人体は同一となり、相違は、虚実に捲かれ、
具体と観念は見分けさえ付かなくなるだろう、

統計室に擲たれた爆弾が、歴史を、君達の目にも瞭然と明かし、
挫折をした、死体として生き、死体として死に行く
僕、そして君達自身の、骨 を撓わせ
苦渋を噛む、唯一箇の理想像の為に
堕落をする
堕落をする
階段より落ちた革命は氾濫し
咽には噎せ返る国家からの贖宥、
趨勢より孤立し、拒絶を享け、なおも、
群衆 に卑下されるべき
思想は、立ち尽くしながら、その蜜蝋の翼を拡げていたのだ

文学極道

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