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作品 - 20200615_004_11958p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


無人の駐車場

  絶望太郎

毛布にくるまり
寂しさを紛らわせている
悲しそうな顔をして
無人の駐車場で時間をつぶす
固くなったおにぎりをくわえて
常温のお茶でのみこんだ

二冊の雑誌を片手に
壊れそうな心が寄り添う
少しばかりの優しさが
肌を撫でていてくれる

電気が消えて
今日もそろそろ終わりを迎える
何もしなかったとため息が出る
缶コーヒーでも買ってこようか

爪を噛んで
賑やかな雰囲気
あの店の前を横切る
受け止めきれない感情
いつものように立ち上がる
銀色の柱が力強い

並ぶ石 色んな感情も並ぶ
未だにすっきりしない頭
蛇行する空気 初夏の香り

緑の色で 空が描かれ
金属がぶつかる音
まばたきの度
可能性にかけている

夜の音を聞いている
昨日は少しはしゃぎ過ぎた
統一性のない 息吹の予感と
シワの寄ったTシャツをかき回す

靴は汚れる
映画のような音
色んな音
無人の駐車場で
座り込んだ
肩を鳴らして 帰り支度

文学極道

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