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作品 - 20200610_924_11950p

  • [優]  症例 - 鷹枕可  (2020-06)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


症例

  鷹枕可

闇が近い 何も見えなくなる
群衆は叫ぶ
今こそが革命の時
旧い遊戯の続きを始める時

退廃は血縁の贄を求め
豫め勃興に滅亡を築く
われらはわれら永続をつかさどり
われらわれらが滅亡をつかさどるもの、われわれなり
今際の際
記憶の水時計を指標として

鏡の縁、縁の、鏡の、その縁に双児の人体有機機関を
狂った婦人が、見据える 
「私、遊園会に招かれたのよ」
「でも」
「私、行かなかったわ」
「ころされるとおもったの」
精神病院の壁に 
実験経済の統計室に
夕の橋梁に消えた
全ての電話機が一斉に繋がらなくなった
鏡像の外に
確かなものは何も勿く

ワルキューレ航海録
あるいは物質と時間の遠近法
逆さ吊り
死青年に蒼褪めた窓
オルフェ
オルフェ
狂婦人が日に二度、橋の欄干から河にむかって叫ぶ、
そして何事も無かったかのように去ってゆく

近頃、姿を見ないって
しらないのか
彼女は
もう
とうの昔に死んだよ

文学極道

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