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作品 - 20200523_385_11911p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


即興来駕

  鷹枕可


土地の時計よ
 降頻るひづめの雨垂を
          かえれ
公海より
私物が解き放たれた朝に
       斧堤てわかもの還る

「夢を借りたから
 その夢を今返します、」

 夢が夢ならばこそ
      サテュロスらは宴も闌
   大層酔うた風情にて
空中鞦韆に
    一跳躍

   眉に皺寄せしかめつら
神話のなかの父親たちは 
  皆いかり肩
 鉛白の頬に髭蓄えて
目が二つに鼻口一つ
    いずれにしても  
   ご尊顔には違いない

「ほら、あすこに酔いどれが
  モローの春の鋳物をたがえているよ」

||
黒い昼、葡萄圃の、

旧市庁舎の広場には 
  顰め面のデュオニュソスが
 苛酷な昼をとがめる頃合
 葡萄の白い花こそが
 あなたがたにはふさわしい

雑居ビルには狭い階段
 噂では
  エレベーターで焼死んだ
    雲雀や燕、の宙返りが
     緑の部屋で見られるらしい 

腕時計の縁
 円い銀盤のなかで
   病死した少年が
果敢無くも薔薇園を育む所在

文学極道

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