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作品 - 20200427_340_11841p

  • [優]   - 黒羽 黎斗  (2020-04)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


  黒羽 黎斗

空っぽの器に、引力がある

塀の外側に流れている川
流されるままの視線は遥か上空の
スピカを捉えている
絡繰りが睡眠を作り替える様を見つめながら
水溶液という怠惰を受け入れながら
ささくれた時計の針を、慈しむ

真っ白の紙に、引力がある

今日、鉛筆の芯が砕けた。
サラサラと零れて、どことなく消えた。
筆箱の中身を確認する前に授業が終わって
苛立ちの募った単語帳の端から
二時間前に見た、粗い放物線を思い出す。
カラカラと笑っている。
強情な問題が、いつの間にか、消えた。

たった一本の釘があれば
たった一筋の葉脈があれば
条件の無い地面を見つめながら
喉の奥で融解する
真珠にも似た、誘惑を
裏返った骨の上に、塗りたくってしまえるのです。

仄暗い自室を抱え
仄暗い自愛を抱え
点対称な、前を探す

拍動は、血液を見つめ、忘れられる。

論証の、崩落が、始まった。

文学極道

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