僕の睫毛にはショウジョウバエが、
私の鼻頭にはホタルガが止まっている。
羽音が僕の為に鳴り
私を選んで羽を休めている
腐乱臭がするのは生きているからだ
微動だにしないのは死んでいるからだ
誰かの陰口だけが電波を借りて零される
崩壊した繭層を
焼却場の私だけが、見ている。
歪曲する喧騒を
浄水場の僕だけが、殺している。
私の鼻頭にはホタルガが、
僕の睫毛にはショウジョウバエが止まっている。
何者でもない個体を融解させながら
僕と私からは
微かに嘘の味がする
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選出作品
作品 - 20200327_567_11780p
- [佳] 汚濁 - り霧 (2020-03)
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汚濁
り霧