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作品 - 20200226_148_11728p

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レティクル逃避行

  鷹枕可

雹が 土地を被い 最も旧いものたちへの糧と為る
群れ咲く 雑草の花は 朽ちた揺りかごへと 滴る 
拍車が 腐敗していく 
萱草には 蟷螂が翅を畳み、暫し 枯れていく花圃を 眺める、

綿の繃帯に穢れ 絡まる 指に、黒い麦が刈られ、積まれる
瘡蓋に覆われ 祈る 者達 癩病の、膚を隔てて 
幽閉をされ 境涯は燃え崩れ 枯葉の咽喉に 微睡み、
褪め、始めては磔刑の草花を 惨めにも 降らしめる、

証拠物件も 決して 確証ではなくなり 人工の花壇は 慎ましく 閉じ込められる
蝶蛾は 盲いて、かれらの灯に触れる 
荒れた畑には、菜種の花が 斑に擡げ またしても 一晩が 土地に吹き晒されて

悪夢を啜り、鬱蒼として 海岸は餓えて、やわらかな死体のうえに 雲母を吐く
脂を指に擬えながら、鉄道線路へ撥ね、落ちる 扉絵の草、その窓は 
潜望鏡を 逃れ已まず あらゆる人はひとり 霧鐘を聞き 駈け巡り 喀血の夕刻 陵閣に 息絶え 

文学極道

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