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作品 - 20191118_883_11564p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


あまりに恥を感じている

  霜田明

僕は
僕がいないほうが良いところへ
居座っている
だが僕はそこを
動かない
恥知らずだから
ではない
僕はむしろ
あまりに恥を感じている
僕が消えないのは
強情だからだ

昨日
電車を逃して
歩いて帰り
家についてから
二時間しか眠れなかった
一昨晩は徹夜で
地続きだったから
眠気はひどかった
それに昨日は
精神的ストレスが大きかったから
睡眠時間の短さが響いた
こう響いたんだ
みんな良い人ばかりだよ

行き場のない
怒り
のなかに浮かび上がる
他者に対する
恨みの感情
人々は僕を
他者
として扱うことをやめない
でも
僕は
僕にとって
他者であれない
だから
僕は他者だろうか

他者へ問う
そのために
言葉を覚えた

彼らは僕を
居ないほうが良いもの
として扱うが
彼らは僕を
居ないもの
としては扱えない
そして僕も
そこを去ることができない
すると彼らは
僕の存在という
不安に
放り込まれる
困惑しているのはいつでも彼らのほうなんだ
僕は
僕を
要求しているのであり
困惑しているのではない
僕は
あくまで
困惑されている
この
自意識過剰
こそが
僕が
強情に取る
関係上の
立ち位置だ

僕は
彼らとの関係を離れ
君との関係へ没入するとき
ひとつの困惑を覚えたんだ
君は
君がいないほうが良いところに居る
だが
君は消えないのだ
君が恥知らずだからではない
君が消えないのは
強情だからだ

文学極道

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