ゆらゆらと浮かんでは漂う
名もない海面の水打ち際で
取り残されている
次第に水分を吸い
やがて海底に沈んでいくのだろうか
誰も知らない青い水底に
目を剥きながら
静かに
誰にも掬い取られることもなく
しかしながら
それも命
運命などと安っぽい言葉が
ぺんぺん草のように蔓延る中で
真実は無残にもざっくりと切りつけられて
海底に沈む
できるものなら
暗黒の底に棲む
チョウチンアンコウたちが
そっと灯火を照らし
一瞬でもその言葉たちを
浮遊させてくれることを
儚く望むものである。
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選出作品
作品 - 20191116_865_11563p
- [佳] 水底 - 山人 (2019-11)
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水底
山人