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作品 - 20191115_850_11561p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


淡雪の『』

  みちなり

ある日真白い国の真白い王女は思いました。この世界は偽物で溢れていると。その偽物は本物であるが故に、本当に至極当然な結果を連れてきました。世界には二つの答えがあって。まがい物か本物でしかないと。

淡雪は普段人よりも色々な制約を自分に課して生きています。皆指さして笑うのです。淡雪は男だから。女王ではない。王子なのだと。その最中でも。自身が溶けて消えてしまう事は無いと知っています。ここは淡雪の領域であるから、誰もが妬ましく羨ましく、淡雪から全てを奪おうとします。

淡雪は自分がまがい物だと知っています。そんな淡雪は恋をしたのです。忘れられない恋を。ただこの話はまだ始まったばかりで。これから始まるとも終わるとも言えません。淡雪は分かっています。ただ自分が春を知れば、守る力も無くなる事を理解しています。だからこそ、淡雪は偽物のままでいようと思っています。

「もし願いが叶うなら?叶えられない願いばかりこの世界の片隅に転がってる」

文学極道

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