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作品 - 20191109_785_11550p

  • [佳]   - 黒羽 黎斗  (2019-11)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


  黒羽 黎斗

山頂がある。万緑の頂。
(左腕の古傷はもう見えない)
山頂がある。鋼鉄の頂。
(右腕の古傷はもう消えない)
跳ねまわるウサギの目が赤く、水晶が足音で砕けていく。
食べ残されたガラス細工を覚えてなんかいられない。
切り貼りされた握り拳が、迷路の中で花開いた。

鏡筒の中は下校の余韻、螺旋が一周する。
八等分されたコピー用紙が、解け、剣を包む。

全身にトパーズを埋め込んだ少年は、
抱き抱えられることで眠れる雲に手を伸ばす。
飴玉は切り分けられて薄氷の上に並べられる。
木こりの仕事は燃やされることであって、
切り倒す木に謝ることではない。

枯れない薔薇の押し花と、枯れない小麦の取りこぼし。
羽を休めた翡翠のオウムは、姉の胸の中で切り絵になって
散り際の桜と、その川を分け合うのでした。

ハサミの裏で舌を裂く。
ハサミの表は抱擁を求め、兄弟を侵食する。
血は、血は、気孔を塞ぎ、闇を求める。

捻出された唾液は、銃弾を真っ向から貫いた。
抱腹絶倒、抱擁が笑い出せば、覗き込んだ円を、渡り歩く橋の上。
嫌いな野菜を残して、母が食ふ。額はもう、繋がらない。

幼年が、砂に描くのは、小さい小さい、小鳥の、羽ばたく二秒前。
鹿の背中は温かいが、鹿の腹は、腸をぶら下げている。
これも、温かいのかもしれない。

反しのついた刃が、脇腹にある。
気づいたのは、歩ける青年の、横顔を見て、だった。

文学極道

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