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作品 - 20190806_487_11373p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


乱反射していた。

  黒羽 黎斗

棍棒が横殴りに吹っ飛ばした吐き気の残る振動の中で
海の泡がチラリとこめかみを通り過ぎて、空の残滓が眼底に穴を開けていました。
それでいて
シャープペンシルを持っていた右手が
数IIの教科書を抑えていた左手が
ブラブラと辿り着けるはずもない旅と共に文字となった。

たった、5秒前

ひっきりなしに繰り返される単語と
ひっきりなしに繰り返される話題と
てんでバラバラな天井を収束したはずの網目模様にも見えた時間の経過
と、
新たに生まれた二点間の直線的な虚無
は、
貫くべき心臓を間違えていたって確認して、
また森羅万象とかいう言葉を使ったままにホールケーキを食い荒らしていた。

たった、5秒前

円に巻き込まれているはずの振り子がまた、二次元とやらに催促している。
メモ帳にはこう書き残していたはずだが忘れた。
犬が犬を間違えて人となるような意味を見いだせない低俗な彗星に身を任せていた。
煙草と排気ガスの匂いの区別もつかないんだから救えないのであって、
それでいて裏庭の雑草の始末を忘れているのが普通だって言うのだから笑ってしまった。
蛇にだって足が生えることがあるし、頭に毛が生えたっていい。
対面していたはずの未知がうっすらと光を帯びていた。はずだった。

たった、5秒前

汚いと言える身ではないのだが
遠い日の出と同じ色をしていることを柔らかな曲線の一部と数えていたのだから、
混じっていた、直角に曲がって鈍角に曲がってようやく辿り着いていた。
左手は日の入り前の紫色であったが右手は眩んでいた。

蝶を飼っていた。
似合わない若さを纏っていた。
食べたいと思わせておきながら臭い薬味ばかりだ。


訪れた
瞬き、と、停止。

圧縮と、吸引の、
繰り返し、を
受け入れていた
あの、瞬きが
垂れ流しになってしまった。

文学極道

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