鏡が肉体だ
なめらかな顔たちを湧き出させる
彼らがお喋りをやめないから
鏡の肛門が糞をひり出していく
地下水路に沈み込んだ
豚の横腹 時計の胃痛
枯渇した馬車に乗る幼児と母親
話すこともないとき
二人の表情は純白のシーツに包まれて
蛙の口内に吊るされた蝶々は
冷たくし、冷たくされたいという欲望の種だ
人間がひとり乳房の中で昏睡する
蟻の行列が浸透して、腹を満たした
食虫植物と口づけを交わす
弾丸の中に青い光を詰め込んでやろう
静かな息を吐き続ける拳銃を可愛がってやろう
炭鉱へと嵐が吹き寄せる
でもそれは決して満たされることを知らない接吻だ
暗闇に手を伸ばすと長い髪の毛があった
そして満月が地獄に堕ちる
鉄のドアに一本、また一本と血管が浮かび上がる
水の周りで洗顔するクラゲの群れ
蝿を飲み込んだ少女は今夜から
蝿の悪夢を眼にし始める
赤剥けにされた肉の窓
足と指と肩と首と
顔のない耳が痙攣しながら血を噴き出していく
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選出作品
作品 - 20190420_708_11180p
- [優] 3 - 鴉 (2019-04)
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3
鴉