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作品 - 20190418_678_11176p

  • [佳]  gear - 山人  (2019-04)

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gear

  山人

整然とたたずむ物達の群れが一心不乱に存在していた
確固たる意志と使われるべき時に備え、静かに眠っている
発情した野良猫の奇怪な声や、地の底に落とし込むような梟の声
建物の背面を擦るように鳴く夜の風の音にも動ずることもない

朝、道具は静かに使い手によって所定の保管場所から取り出され、水を掛けられる
使い手の指先がその刃先をなで、静かに作業は執り行われる
材が鋭い刃によって左右に押し分けられ使い手の意思によって成形される

道具を使いこなす、というよりも、その道具はすでに生きているのだろう
使い手の細胞が道具に入り込んでいる
もとは、何の変哲もない器具や道具であった
しかし、使い手の思いや、日々の理念が道具に命を送り込む
使い手にとっての道具はこどもであり、妻でもあり、兵でもある
道具を磨き、寝心地の良い寝室を用意し、静かなひと時を過ごさせる
それによって、道具はいつも満たされていると感じ、使い手に仕えていくのだろう

使い手の安堵によって、道具は飛翔する
愚直に物として存在し、使い手との出会いを待っている

文学極道

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