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作品 - 20190301_031_11099p

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グローバリズム孤児

  星野純平

僕たちの間に横たわる銀河のことだよ 夢ってなに?そうさ諦めの星雲の淵に薫る夕飯のこと 路地に煙る思い出のなかを手探りで帰る場所のこと 子供のままじゃできない 大人になれば叶えられる 大人ってずるい早く大人になりたい 君ならできる 善い大人になれる 子供は時の流れを堰き止めている 大人は船に乗って魚釣りをしている 星を釣りあげると流れ星が手紙を運んでくる 裏腹な気持ちで遠い空に眠る文字 子供は大人の先輩だってね ああ大人よりも先に生まれてくるからね
べったり張り付かないで信じない人のことは 犬に餌をあげるように愛して 誰にも期待なんかしない 昔の住所からやってきたんだね 遠いところだ 目に見えないところかもしれない 地図にすれば帰れるかい 君が生まれたところ 真っ暗闇をオブラートに包んだ道 そよぐ木々 たなびく草花の丘 死のような地平線 死んだことはあるの 死にたいの いや殺してほしい 風の刃先が首筋に触れる 聞こえてくる 耳なんか澄まさなくてもいい どうすることもできない花の眠りが胸に脈打ち溢れているから
ようやく生まれ変わったきたんだ そんなに焦る必要はない 言葉に腰掛けて君は息をとめて椅子のように黙って 誰かの嫉妬に見つかってはいけない 帰る場所が欲しければそのまま動かないで 夢にまでみたんだよね 流れ星だったけれどほんとうは今でも諦めきれないんだ 間違っているのは間違っていないことかもしれないね 君が歌えばみんな帰れるのかな どこに帰るんだい さっきからずっとその話をしているよ ほら見て空が明るくなってきた 君が歌ったから?ああ夢かもしれない

文学極道

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