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作品 - 20190222_938_11085p

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天文潮IV

  鈴木 海飛

天文潮 IV



ゆたのたんとん

うさぎがはねる

しらなみおどる

まるで、蝶の羽ばたき

次々ぶつかってるようで

上手にそよいでいるのです


さぱさぱ、

海の角がとれ潮が凪ぐ

水平線が丸みを帯びて回転し始める

そうして朝が白鳥の翼を広げるころに

産まれたばかりの砂粒をつれて

ゆるりとやさしくひいてゆくでしょう



ゆたのたんとん

いりあひのはまべ

あしあとに聞こえる笑いごえ

汐が満ちるにつれ、夕陽のヴェールを脱ぎ捨て

やがて裸身をさらす夜の海は月の肌

ぬめりきらめいている


しんしん、

ふくろうは静寂の羽音

風切り羽がしめる嵐の前兆

膨らむ胸震わす、寄せる荒波の吹雪

もはや大洋は傷口のように広がり

幾星霜を重ねた岸壁は瘡蓋です

散らばる星糞、貝殻とともに

轟々、くだけ波は踊り明かす



ゆたのたんとん

夜にぱちぱち瞬く宇宙の螺旋

両手でたぐりよせては足元から海にほどけてゆく

朝へむかう、満天の貝殻の銀河

文学極道

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