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作品 - 20190212_800_11066p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


一人を考え独りとなる為に

  鷹枕可

死の花の秘匿ミモザを降り行く騎鎗兵たちの鬱金色の留具


沈鬱と明徹の紡績製の夜から滴る幾重もの睫毛の羽根が
机の上に透明な図形の鳥を灯す
海洋船の標に
航海予定表の釘に
地に磔けられた血まみれの日没に

階段を下っていく
人間という名の終着駅が
終端の果の終端へ喚きながら潰されてゆく
凡ゆる
体液、血液、骨格、神経、
臓器、脂肪、漿液、器官
その結実を孕む死の花
死とは人間の現象的想像限界であって

一擲
麻袋の中の幾多の手首を
湖畔まで捨てに行く男
錆びた樹に壁掛け時計を吊下げる男
柔軟剤を吐く男
鬱蒼たる
異邦の樹海に縊れた男

私は
椅子より去った私の坐る椅子を見た
それはコンクリートの顔を傾け
総ての放射線写真に
現像実験室の
蝶の死体を結像する捩れた長方形の鏡だった

死の理由は合理 生存の理由は不合理であるから
苦く鹹湖を振返り
慄きやまぬ
窓越しに
裂けた幼年期を
砕けた薔薇を
縦断し
死を死して死ぬべき死に 訣別し
血の庭を柵に垣に隔てて


晩年のキリコ、ツァラ、ヘヒ、藤袴100年後形而上も旧りぬ

文学極道

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