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作品 - 20190201_545_11034p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


陽の埋葬

  田中宏輔


I

少年は待っていた。
雨が降っている。

少年は待っていた。
雨が降っている。

少年は待っていた。
男は来なかった。

少年は待っていた。
雨が降っている。

少年は待っていた。
男は来なかった。

少年は待っていた。
男は来なかった。


II

あの日も雨が降っていた。

男は少年を誘った。
少年はまだ高校生だった。

あの日も雨が降っていた。

男は少年を抱いた。
少年ははじめてだった。

あの日も雨が降っていた。

買ったばかりのCD、
ホテルに忘れて。

あの日も雨が降っていた。

また、逢ってくれる?
少年は男にきいた。

あの日も雨が降っていた。

また、逢ってくれる?
男は振り返った。

あの日も雨が降っていた。

また、逢ってくれる?
男は頷いてみせた。


III

少年は待っていた。
雨が降っていた。

少年は待っていた。
雨が降っていた。

少年は待っていた。
雨が降っていた。

少年は待っていた。
男は来なかった。

少年は待っていた。
男は来なかった。

少年は待っていた。
男は来なかった。

いつまで待っても
男は来なかった。

いつまで待っても
男は来なかった。

雨と雨粒、
睫毛に触れて、

少年のように
雨が降っていた。

少年のように
雨が待っていた。

文学極道

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