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作品 - 20190125_422_11021p

  • [佳]  『蟲』 - 尾田和彦  (2019-01)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


『蟲』

  尾田和彦




2019年1月4日。
朝8時に起きた。
昨晩は10時に寝たので10時間睡眠。
このくらい寝ると楽だ。
朝は部屋の掃除と飼い猫のミーの体を洗った。

朝食を食べると、また眠気がきた。

ペドロ・アルモドバル監督・脚本
『オール・アバウト・マイマザー』をみる。
(1999製作スペイン)
人生は観客のいない演劇である。
台詞と沈黙、痛みが必要だ。

観客とは?『神』
演じるとは?『みせること』

新しい年がきた。
それにも関わらず、
昨晩、熊本で地震があった。
京都の実家から、父親が電話してきた。
ぼくは明日も仕事だった。

自分の人生は自分のものではない。
そういう「痛み」に届く、父親の声があった。

1月4日、今日、『オール・アバウト・マイマザー』を観る。
人生は拷問だ。
沢山の悲鳴がひしめき合って、言葉になる。

1月3日、
牛舎の見回りをしていた。
木造の牛舎の、和牛の一頭が倒れている。
牛は転倒するとひとりでは起きれない。
そのまま鼓張し、窒息死する。

夜中の11時30分。
さむい牛舎で、
ぼくは牛の背中に寄り添った。
空は満天の星で、
生命の寄り添い合いに無関心に輝いている。

畑と森に囲まれた大自然の中、
夜中に一人で歩いていると、
自分の呼吸しか感じられないことがある。
或いは心臓の音。
心臓の音に集中していると、
気が狂いそうになる。
傷口はやがて閉じるが、
狂ったものは、
もう戻らない。

様々な仕事をしてきた。
パン工場。
精密ガラスを研磨する仕事。
産業用チェーンの工場。
印刷塗料の卸の営業。
ホームセンターでの接客。
住み込みで白菜の収穫。
色々なところにも住んだ。
沖縄は特に気に入った。
分からないものは、置いて行け。
人生は「謎」を含み、
知識は忘れる為にある。

全てのことが、
語られているメディアのあった時代はなかったし、
これからもこないだろう。
愛を放ったり、受け入れたり、
ホロホロと、
何かを吠えている犬がいた。
そのコは、
壁に向かっているが、
もう、一粒の餌の為に、媚びないぞと、
言っているみたいだ。

俺の心はいったいどこに在るのか?
そういうことを、
少年時代、
詩を書きながら永延とやっていた気がする。
自分と他者の発見は同時でなければならず、
社会は俺たちをおいて勝手に暴走していく、
まるで生き物みたいじゃないか?
欲しいものは、
この町のどこを向いてもなかった。
恥ずかしい嘘を、
平気で言える人間ならば、
黙っていたりしないで、
そう言えるんだ。

文学極道

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