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作品 - 20181231_674_10972p

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セロファンの月

  ゼンメツ

つめさきを濡らすたび、すうまいずつがめくられていく、縁々へとぼくを拠せて、であってしまう。つながってしまう。たちきえてしまう。みなもに削られる月のような、うすくいびつに折り目の残るセロファンに透かされて、月型に曲がったままのひとびとが、湖岸の泥濘みへと植わっている。花弁をかぞえるように、ちかくの細い茎などを、てあたり次第ひっこ抜いている。


せかい。とつぶやいて、丁寧にかおをあらう。

遠い、

すくわれたいろみずのいろがいまだれの手にもみなぞこの泥をわすれさせていた。あなたはほうぼうへとかぜを起こしながら何処までも何処までもとそれをはこんでいて、つまづくたびにまた、はっ、と、すうまいずつをめくってしまう。

文学極道

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