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作品 - 20181231_672_10971p

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冬にむかう 三篇

  山人

葉が落ちた一本の木の梢である
小鳥はトリッキーな動きでせわしなく動いている
それぞれの木は葉が落ちて
痛いほどの残照がふりまかれ
すべてが黄金色と言ってもよかった

小鳥は群れと離れてしまったのだろうか
それでも口ばしを幹に突き立てて
ちいさな虫をついばんでいるようだ


正午を過ぎると日は傾き始め
鋭い逆反射の残照が降り注ぐ
影という巨大なものに身をささげるために
いたる木は裸になり口を噤んでいる

私はひそかに木となって
隣の小鳥を眺めている
ときおり狂おしく可憐な声を発しては動き
何かに怯えるように細かくぐぜっている

木から離れた私は歩きだしていた
鋭い初冬の日差しに打たれながら
鈍い痛みを感じていた




浮遊する冷たい空気の
時間を刻む音が聞こえてくる気がした
すべての色が失われた初冬は
まるで剥がれた皮膚
少しだけ血が滲み浮き出ている

すでに骨格すら失われた
白い水平線の向こうには
優しみがわずかに震えている

鼓膜に入り込むのは
生まれたばかりの仔虫の声と
潤沢な餌を持つ生き物たち

彼らの存在は命を持ち
声を発している
私はその傍らで
来る当てもない汽車を待ち続ける



雪が降る
この小さな心臓の真ん中に
冷たい塊を落としに

臓腑の中に冷たい湖を作り
その洞窟に船を浮かべるのは私
血が滞り血流は途絶え
白蝋色の手足とともに
私は武骨に櫂を操る

たとえば雪の粒が
小さな羽虫の妖精だったのなら
そのはらはらとした動きに
笑みさえ浮かべることができるのに
今はこうして
ばらまかれる針の破片のような雪が
私の頭上に降り積むだけだ

声帯すら凍り
ふさがれた唇は発話すらできない
浮遊する、意味のない隠喩が
私の脳片から出ることも許されずにいる

文学極道

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