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作品 - 20181015_675_10820p

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鉛の塊り

  中田満帆




   *

 死んでいったもののためにできることはない
 去っていったものたちのためにできることもない
 だからか、
 おれはおれの断片を刻み、
 それは麦となり、
 荒野なり、
 驟雨となる
 ぬかるみのなかの眼
 おまえはきっと幸せになるだろう
 なぜって?
 それはおれからはなれていくからだ
 麦をしながら
 おれは読み、
 荒れ野しながら
 おれは書く

    *

 あらゆる天体はおれ自身がうつろであることを告ぐ
 あらゆる地層はおれがつかのまでしかないことを捧ぐ
 あらゆる生物はみな淘汰されながら生きながらえ
 姿を変えることで時代をいなおる
 魚が魚であることによって海は青く
 狐が狐であることによって森は繁るけれども
 ひとがひとであることによって町はぬかるんでる
 もはや赦されることなどひとつもなく
 おれはきみのかげを踏んづけて遊ぶ
 
    *

 死んでいったもののためにできることはない
 去っていったものたちのためにできることもない
 だからか、
 夜更けた通りを中心地まで歩き、
 かげで遊びながらずっと、
 ずっと遠くにいる、
 きみのなまえを
 いま呼んでる

文学極道

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