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作品 - 20180927_885_10770p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


収穫祭

  朝顔

私が幼稚園児から小学校にあがるかあがらな
いかの頃母親が狭い台所でお前なんか産みた
くなかったけどできちゃったおろしたかった
けど結婚する前にもうひとり遊んだ人とおろ
したしその時は産婦人科で両足をぱかっとひ
らかされてとてもこわくてでも胎児は無事に
えぐりだすことができてそのおかげでせっか
くお父さんと結婚できたのにまたできちゃっ
てめんどうだからまた一人おろしてあんたが
できてでももうあたしの体にも悪いし経済も
余裕が出来てきてたからなお世間体が悪いし
仕方なく産んだのよと憎々しげにわたしに言
ったその頃のわたしはもう書斎のむずかしい
文学全集に手を出し始めた頃でだいたいの意
味はとれたもともとその頃なにかに失敗する
と母親に納戸に連れ込まれてお仕置きに悪戯
をされていたからそんなことかとおもって泣
きもしなかったらなお怖い目でにらまれた母
親は料理を作ってどんとならべて夜はてきと
うにふとんをひくだけだったから弟とふたり
で適当にそのへんで寝た母親はべたべたのフ
ライドポテトくらいしかまともに作れなくて
顔の洗い方も靴の紐の結び方もなんにもおし
えなくて父親は仕事で忙しいと言って始終う
わきしていたらしくどこにいたのか全然覚え
ていないきっと母親の言うように社長の片腕
で接待されていたのだろうちゃんとしたおう
ちですねと外に出るとみんなわらうから適当
に合わせることしかできなくて学校ではどう
してどもるのかと叱られて帰って来たよるは
恐ろしい折檻が待っていた家はあったでもい
えはかぞくはかていはどこにもなかったです
裸のままで横たわる白い棘のある箱のなかに
あるとき私はとうとうははおやを殺して外に
出たさんざめく金色のひかりが満ちる秋に紫
色のピオーネを生まれて初めてわたしは齧る

文学極道

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