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作品 - 20180901_417_10700p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ごめんね。ハイル・ヒットラー!

  田中宏輔



幸せかい?
(ヘミングウェイ『エデンの園』第二部・7、沼澤洽治訳)

彼はなにげなくたずねた。
(サキ『七番目の若鶏』中村能三訳)

あと十分ある。
(アイザック・アシモフ『銀河帝国の興亡2』第II部・20、厚木 淳訳)

なにかぼくにできることがあるかい?
(ホセ・ドノソ『ブルジョア社会』I、木村榮一訳)

彼女は
(創世記四・一)

詩句を書いた。
(ハインツ・ピオンテク『詩作の実際』高本研一訳)

しばしばバスに乗ってその海へ行った。
(ユルスナール『夢の貨幣』若林 真訳)

魂の風景が
(ホーフマンスタール『詩についての対話』富士川英郎訳)

思い出させる
(エゼキエル書二一・二三)

言葉でできている
(ボルヘス『砂の本』ウンドル、篠田一士訳)

海だった。
(ジュマーク・ハイウォーター『アンパオ』第二章、金原瑞人訳)

どの日にも、どの時間にも、どの分秒にも、それぞれの思いがあった。
(ユーゴー『死刑囚最後の日』一、豊島与志雄訳)

ああ、海が見たい。
(リルケ『マルテの手記』大山定一訳)

いつかまた海を見にゆきたい。
(ノサック『弟』3、中野孝次訳、句点加筆)

どう?
(レイモンド・カーヴァー『ナイト・スクール』村上春樹訳)

うん?
(スタインベック『二十日鼠と人間』三、杉木 喬訳)

ああ、
(ジョン・ダン『遺贈』篠田綾子訳)

いい詩だよ、
(ミュリエル・スパーク『マンデルバウム・ゲイト』第I部・4、小野寺 健訳)

それはもう
(マリア・ルイサ・ボンバル『樹』土岐恒二訳)

きみは
(ロベール・メルル『イルカの日』三輪秀彦訳)

引用が
(フエンテス『脱皮』第二部、内田吉彦訳)

得意だから。
(フエンテス『脱皮』第二部、内田吉彦訳)

でも、
(フロベール『ボヴァリー夫人』第三部・八、杉 捷夫訳)

これは剽(ひょう)窃(せつ)だよ。
(ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』2、井上 勇訳)

引用!
(ボルヘス『砂の本』疲れた男のユートピア、篠田一士訳、感嘆符加筆)

まあ、
(サルトル『悪魔と神』第一幕・第二場・第四景、生島遼一訳)

どっちでもいいが、
(ノサック『弟』4、中野孝次訳)

きみの引用しているその
(ディクスン・カー『絞首台の謎』7、井上一夫訳)

海は
(ゴットフリート・ベン『詩の問題性』内藤道雄訳)

どこにあるんだい?
(ホセ・ドノソ『ブルジョア社会』I、木村榮一訳)

お黙り、ノータリン。
(ブライス=エチェニケ『幾たびもペドロ』2、野谷文昭訳)

ヒトラーはひどく気を悪くした。
(カブレラ=インファンテ『亡き王子のためのハバーナ』あるバレリーナとの偽りの恋、木村榮一訳、句点加筆)

彼は拳銃を抜きだし、発射した。
(ボルヘス『砂の本』アベリーノ・アレドンド、篠田一士訳)

ああ、
(ラリイ・ニーヴン『太陽系辺境空域』小隅 黎訳)

でも、ぼくは
(ロートレアモン『マルドロールの歌』第二の歌、栗田 勇訳)

いったいなんのために、こんなことを書きつけるんだろう?
(ノサック『弟』4、中野孝次訳)

相変らず海の思い出か。
(フエンテス『脱皮』第二部、内田吉彦訳)

たしかに
(ラディゲ『肉体の悪魔』新庄嘉章訳)

海だったのだ。
(モーパッサン『女の一生』十三、宮原 信訳)

ごめんね。ハイル・ヒットラー!
(フエンテス『脱皮』第二部、内田吉彦訳)

文学極道

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