ばらの花びらのふりつもる
わたしの頭の
いちばん外側にちかいところにある
庭
少女の白く重いなきがらを
抱きしめている
たわむれに春をひさぐな
指さされ ささくれて
ばらのとげをのみながら
血を吐きながら
陽射しをさえぎる白い日傘を握りしめた
少女を抱く 冷たすぎる
この子はわたしだろうか
ふたりでこいだ
はだ寒い
小雨の日の
ブランコ
あなたは遂げてしまったのに
わたしはあふれる乳と蜜だ
くちびつりあげ
チロチロとふたつに割れた赤い舌
なだらかに
わたしの眼も閉じよ 閉じよ と
呻きながら
からだをひきずりつづけると
気づけばわたしが
棘をはやして夜をやどし
薄輝く星をたたえた
真っ黒なばらになって
飛び立とうとする白い少女の
のびやかな鳥をかばうように
とぐろをまき
こうべを飾るのだった
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選出作品
作品 - 20180707_088_10568p
- [佳] ばらの蛇と少女 - 田中修子 (2018-07)
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ばらの蛇と少女
田中修子