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作品 - 20180611_547_10518p

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野いばらの丘

  田中修子

殺したい殺されたいという
おそろしいおもいは
愛したい愛されたいという
かたちの
最果て

ああ
また

あのひ わたしが 茨に裂かれて死ねば
すてきなちいさなおとむらい
女王は泣きくずれ 王は威厳をたもつ
それから海の見えるすてきなレストランへいき
数日後には談笑している
ここはおそろしく不思議な魔女の国
燃え上がるからだ
ひつぎのなか、王子様の接吻はまだ

王はいま
枝葉を切り落としなんとか枯れずに
育ったわたしを家に
うやうやしく飾ろうとし

くらい、おそろしい森に
落としてしまった
祖母の
真珠のネックレスだけが
パンのように白く光る
わたしにかえり道と
ゆく道を
一粒を口に入れれば
ああ、これはわたしに殺された
祖母の肉の味だ
涙のようにほとばしる血で飲み下そう

海に身を投げ風の精霊になった
人魚姫たちに背をおされ
ツバメの死体と共にある
王子たちの心臓がわたしに脈打つ

すべてわが、顔も知らぬ
姉よ妹よ
兄よ弟よ

果てのさきを歩もうか
いまここは野いばらの丘だ

文学極道

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