古いたそがれが落ちている
窓の桟、ガラスの汚れ、あなたの後ろ姿
アリが、本能のまま
きちがいのように動き回っている
坩堝のような夏
アリは動き回ることしか許されていない
私たちはそのように
温度さえ失われた世界の初めから今日まで
きちがいじみた日々を
呪文のように生きていた
手枕で横たわるあなたという置物が居る
セミの声すら失われた夕刻
家屋の中には数えきれない溜息が滞り
か細い体躯の蜘蛛がそれを齧っている
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選出作品
作品 - 20180329_113_10349p
- [佳] 蜘蛛 - 山人 (2018-03)
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蜘蛛
山人