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作品 - 20180326_972_10339p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


黒薔薇水晶の代償

  鷹枕可

――ぼくは永遠が欲しい。


死の果に死が有り、
黒薔薇馨る慈愛の箱庭に
恩寵を受けた、
アウシュビッツの地下隧道に眠る
幾千、幾万の亡骸を
火葬柩の
黒薔薇の印章が
異邦人の咽喉の様に壮麗に赤黒く、拘縮していた

死の秘密、
常夜、蝙蝠の斧翼下を闊歩する婦像の陽傘、
街燈の書言葉、
瞬時、脳髄受く花籠の中
蜜蜂の樹花は爛熟し、
瞋りを尊厳死に
生誕の隷属、既成存在に
喚き立てる係争の、血縁附録

昇降室
骨壺の髄-風葬を受けて愈々優麗と為り
喪葬果を受ける死の
拡声器と乾草、
その遺骸、瘢痕
敬虔者
一縷血脈の籠に錆び続ける黒薔薇、
酪乳翰は吐露の額縁に凝り
交叉階段、
死のベルを聞く
瓦礫下の心臓、腐蝕銅鉱
葬像を
偶像と呼び慣らす
墓碑銘の丘陵

死の翼、猖獗を錚錚と讃えつ
鶴嘴と鍬の凱歌
一粒の種子
その起源、天球像周縁を隈なく
世界無く
万物のみを踏襲し
諸々の虚実
孵卵器を蘂奥を蜜蝋に拠る鋳物にて
分身、鏡の葛
双嬰児を孵るまで俟ちつつ


私のうつろ、鈍い血苦の蜘蛛、
死骸として、死に続く死を

   痴夢する痴夢
    今際の果てに
     
死の舞踏、ペストの話言葉
 葛藤、断頭記録の様に
       影像、嵐絵、蜂窩、解剖学
咽喉を潰す劇薬を下さい
/海縁の邸宅に/
網膜を剥がす
 剥がす禽舎の壁を、
   骨壺の薔薇の名前は

被告人アドルフ、迷宮、窃視、絵箱庭、
 窓硝子、越しを、家畜列車、が

 剃髪されたる実母の、愉悦し、狂奔たれ
象徴、白亜十字架が
   忌々し、頸筋にダヴィデの、痕なかれ


          君達、さえを

文学極道

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