血管の中にこびりついた沈黙を
溶液で溶かし
老人は語りをやめない
はきだす口もとから
おびただしい仔虫の隊列が
果てしなく
悲しく
生まれ出ては死亡する
鉄となって身を打ち
子らを放牧し
冬には黙り込み
春まで眠っている
湖いっぱいの酒を飲みつくしても
まだ死ねないでいる
遥かブラジルを懐古する
記憶の隅で希望は残照となる
田参りする道はたそがれて
ススキは細々と
つめたい風に揺れている
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選出作品
作品 - 20180228_090_10271p
- [佳] 欠片 - 山人 (2018-02)
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欠片
山人