魔法が呪詛に変わるとき
天を見上げていた瞳は
冷え切った土を睨み
まじないをなぞる指は
魔法陣に爪を立て
未来の言葉を紡ぐ唇は
記憶に固着した
彼の者の名を繰り返す
羊皮が竹が紙へと移り
液晶になろうとも
魔法が呪詛に変わるとき
人は彼の者に拘れば
いにしえの禁忌を胸に
青ざめた己の両手で印を結ぶ
陽の光を返す輪の繋がりから
気がつけば遠く離れ
ただ眺めるほか術もなく
むせぶ声は誰にも届かず
凪いだ荒野をさまようとき
それは
魔法が呪詛に変わるとき
最新情報
選出作品
作品 - 20180221_908_10264p
- [佳] 魔法が呪詛に変わるとき - 山井治 (2018-02)
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魔法が呪詛に変わるとき
山井治