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作品 - 20180209_378_10241p

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土地の血

  鷹枕可

燈の傾倒樹林、
凱旋門を統べて在る狂奔より
薔薇と臼砲
海縁を磔刑像が錆びるごとく
多翼銃剣、
縊死鬱血の鈍鉄罐を
擬似縫製-液体花壜を逸れつつ
瞭然の懐疑を
起源黎明へ懐胎し
額縁を渦巻く緘口令
その飢饉の噂、

現象を緩む鉄砲百合
その破壊の季節に死に罅割れる絶対死への廻廊は胸像を純粋に磨き続けつつ
冒涜を硬貨に腿の絶望に乾き続ける噴水庭園の八端十字に水洗礼を滴らせながら
豊饒の市街を赦す塩の草花へつぶさな眼球の法医学を振子の種を撒く分銅の騎馬の甲冑の様に確かな
奴隷と死
辺縁と蜜蜂そして
絨緞裁縫工場に降るセロファンの花網を亙り
苦く秘匿された立柩を諸手は受け遂に見えぬ花湛える天球儀の外に繋がれた幾多の白熱電球を
希望への釘そして椅子に
腐朽酸蝕に被い
機械下の創物が全て尊厳死に赴く迄、
それをも飢饉の季節は逡巡無く死と麦種に稔らせ
塩の婦像柱が掘り起こされた時、
饗宴の果て、一匹の蟋蟀が死に遅れた季候の上で鳴いている、
そして自由とは血に沈められた殖民の起源であり、終焉を亡くした空洞でもあるだろう

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鉱脈より総てが解き放たれ
地上より
夜闇の扉を叩く
牡麋が
飢饉と疫病を振り撒き、

凝膠の溶解、椅子に受けた薔薇十字
市民革命宣誓文に投げられた喝采に沸く趨勢は鬨ぐアスパラガスの起爆装置に雄花を添え
避雷針は黒い丘陵を月蝕より芙蓉に預けて傾く
地平の醜怪な花々の滂沱は切離された壜攪拌機に普遍低劣な唾の塵と海縁を亙る砂の電気椅子を擡げ
蛇蓬髪の石化した姉妹を鏡に嵌殺しながら
牛乳罐、躑躅、そして硬い籾殻をホルマリン溶液の胸膜に秘匿していた
逆円錐の噴水が七週間目の飛語を覗く迄には、
土地の血はあらゆる繃帯に隔てられ
輸入品目への翻訳、出奔も威嚇射撃に耳を泛べる曇雲の部屋に、
もはや慣例である麻酔医と血縁のグランドピアノを映像世紀に死と影のごとく随伴するのみとなるだろう

文学極道

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