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作品 - 20180119_838_10183p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


国道4号線

  游凪

斜視の幻影が捉えた
喪失した空の色
指枠の中で飛行機が墜落する
少年よ、発火せよ
瞬く間に蒼白い炎が上がり
視界が光で塞がれる
滾る心臓に支配されている

凍てつく日々がトラックの振動で罅割れる
排気ガスに紛れ込む、
薄汚れた野良犬と肥厚した爪の饐えた匂い
一本の肋骨が遺失物として届けられた
欠けたまま徘徊を続ける浮浪者
重ねたダンボールの温みが人肌であった

ゆで卵の殻を剥くと父の顔が覗いた
温かな尿道バルーンを垂らして
静かに鼓動を止めた安寧のとき
清潔に保たれたシーツの染み
空蝉が病院の壁に飾られる
早朝のリノリウムに乾いた音を滑らせる

生きている痕跡を消していく真白な清掃員
名前の書かれたゴミ袋を収集していく
異物混入、分別シテオラズ回収デキマセン
路肩に残る生活の残渣
駆け抜けるタクシーのテールランプ

名も無き花と踵の下で潰された明日
循環する思想、旋回する夢想
雑踏の孤独死が轢かれて軋み上げる声
かき消す子供の嬌声
飛行船が太陽を積んでゆっくりと飛ぶ
それが見えなくなる瞬間を知らない

文学極道

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