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作品 - 20180101_385_10140p

  • [佳]  一月 - maracas  (2018-01)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


一月

  maracas

道をぼんやり歩いていたら
いつの間にか
たどり着いた。
丸い水が
ごう音とともに
流れてきて
岩壁にぶちあたる場所。
暗くて
藍色の場所。
つややかな黒髪の
形よき青年が
魚を
腹の膨らんだ魚どもを
あやつっている。
魚はびちびちと跳ね
辺りに激しく水をちらす。

そこで
スマホを取り出して
高校のときの
仲良くなかった友達に
ラインを送る。
友達はすでに
誰か別の人に入れ替わっていて
知らない人との
会話の内容が
pdfで保存された。

魚どもは
私を食いにかかり
あちこちで踊るように跳ね
狂っているようだった。
魚どもは
方向もなく
岩壁にぶちあたりながら
おそろしげに
飛んでくる。

そこはまるで
牧場のような
熱帯雨林のような住宅地
そして
誰もいない夜の公園だった。
湿った草が
大きく生えていて
白色の腐った柵が
ならびつづけている。

魚は
びちびちとうねるように
まとまって
水のように
襲いかかってきた。
ごぼごぼと
耳の奥で音がした。
私は祈った。

狼の群れが
魚どもを
一息に
食い千切っていった。

文学極道

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