選出作品

作品 - 20171230_346_10133p

  • [優]  挽歌 - 軽谷佑子  (2017-12)

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挽歌

  軽谷佑子

帰らなくとも
家はいつまでも家
冬至が過ぎて
まだながく続く冬の
片手をそっと引いた

町がひかりを区切り
高いところで
飛行機がちいさく移動していく
冬の空は色が薄いので
はさみで切った紙のかけらが
はりついていてもわからない


わたしたちはそのまま
落下していく夜の水辺に星は
かがやきやがてすべてはがれおちて
しかたがない と
口に出して

名残の日々がいちめんに満ち
作業だけがかたちをのこす
あまりにも暗い
朝のなかもはや知らない
風景のなか

わたしたちはいつでも
学ばない水位のあがった川の
したいきたえたひとたちによびかける
冬のきまりにしたがい
枝と葉は別れをいいかわす