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作品 - 20171218_068_10104p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


全て墜ちるだろう

  鷹枕可

戦禍と
悦びを
係争の終わり
絨緞爆撃に崩れ落ち
こぼれつづける墨染の薔薇、建築
それらを
私の鞦韆のために

市街地にて
私邸
焼跡に縋り歎く
その母の
日曜日の死骸
幾多、罰と謂う名前の
遺物-除籍手続
予め約束された貿易花の
今しも紐解かれようとする
運命の必然へ帰趨を棘とその遭遇たる孤絶へ擱き遣る、
諸諸の展ばされた両腕、慟声より、

死後喝采を受く
蜜蜂の様に、
建築物の影たる静物像の様に
鈍重な柩が過っていた、
彼等は皆
翰墨を覆う絹を引いていて
解ることは霊柩車には火葬室の馨りすらひとつとして残らないということだけだ

そしてその臓腑を青く、血縁達の瓦礫統樹よりも蒼穹に似た加葬令の花總の様に、

廃棄物の時計に
夜と昼を隔て
翳翳たる凹レンズが遠近鏡のなかで
花粉階段を降り、
樹々の死骸を上る
それでも薄絹の梯子は静かな約物に揺れている
飢餓の薔薇を
程なくして紡績車に縺れせしめて

放擲された花束は暈み、
宛名書のない黄昏を指に押しながら
皺嗄れた房事と
十一週間以後に
堕胎された咽喉より
禍根は血婿浮く曇雲の部屋に

凡庸-劣等の結実でもあった筈の
機械趨勢、
優生学の統計部屋は収獲野に棘の花を踏み、
踏み拉かれた公海、公衆的領域への閾は
被覆樹脂-銅鋼線に巻かれつつ
存在の実象を離別してゆく
彼の婚約縁戚者達のように

命運と死
その夥多を
簡素柩の懸垂樹は開き
縫綴じられた鐘と、
闇陰境に欹てられた耳殻-籾殻
螺旋を撒く人物、
それら完膚球形の人体時計は
皆酪乳の疵であるかのように
流麗な海縁の門
その額縁に、
偶像盲紡錘婦「フォルトゥナ」が総てを涯てもなく見る、骨壺のなかのひとみを、

文学極道

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