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作品 - 20171104_044_10002p

  • [佳]  葬儀 - あさぎ  (2017-11)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


葬儀

  あさぎ

幾億千万の瞬きに
いつも反らせていた眼差しを
生まれて初めて覗きこもうと
した

 が
する

私の記憶のお饅頭の餡子は
もしかしたら
覚えているの
かも
しれない
感覚

「可哀想ね」
「頑張ろうね」
「長生きしようね」

初対面の老婦人の言葉は虚しくも皆
窓から羽ばたいて逃げました

逃げたかったのは
逃したかったのは
勿論
私の饅頭の皮
だけど

無謀にも見える私の企みを
知ったのか 感じたのか
何故?
その言葉を口にしたのか

貴方の中のお饅頭は 
今はどの位 萎びてしまったのか
私たちに知る術もないのだけれども


 心や魂は何処へ宿る?


その答えは未だ解明されてはいないけど
その答えを導き出す行為はもしかしたら
とても無粋で野暮であろう

そんなことより たいせつなのは

餡子同士のテレパシー

皮同士のテレパシー

黒い眼に光はあれど
何故か 何処か 擦り硝子越し

一生 私は貴方に触れることはないだろうと
一生 私は貴方に触れないでおこうと
決めていた事 思っていた事
擦り硝子がそれを破って

餡子同士の 皮同士の 饅頭同士の 以心伝心 

ゆれあい
    ふれあい
        すれ違い

貴方は私たちを置いて
いつか必ず辿り着くというその場所に
旅立つ支度を済ませていて
それを止めるものも 何もなくて

「他人(ひと)の目を見て話しなさい」

それはとても危ない罠
本当はとても失礼な事

覗き見た瞳に移る光は
極彩色の曼荼羅だったり
モノクロの鉄格子の中だったりするから

餡子も皮も黙らせたいなら 他人の目など見てはならない

文学極道

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