昨夜は鮫と眠りました。
愛で小銭を貢いだ話を聞いてください。
思い出です、交差点に折り重なるアルバムです。
めくると沸騰します。温泉のような、
湯煙はため息です。声を求めて旅に出ます。
まどろみは、緩やかなカーブで、
哀しみは硬水のように隆起していました。
枯葉の船に乗せた宝物は、
海の骸になりました。深く沈んだ遺言です。
私の遺体を十字架に磔。ください。
ヒノキ、香木が良い。
焼香を終えた後、参列者は磔の私とハグをするようにお願いします。
これを「ハグ葬」と名付けます。
中には拒否する人もおられるだろうから、
私と二人きりになれるよう、個室で行うようにお願いします。
それでも、拒絶する方がおられれば、
「後になるほど、ハグで遺体が崩れてゆく。」
お伝えください。
それは、まるでプラネタリウム葬です。
私をプラネタリウムの天井から吊るし、
空中ブランコのように宙を舞い、
大きく弧を描き、揺れる星空から、
舞い降りてくる私を受けとめ、
そして、
ギュッと抱きしめてください。
私は大勢の、一人一人の方々に、
抱きしめていただき、
喜びでボロボロになっているのです。
ボロボロになった身体は、
グズグズになるまで、
その場で煮込み、
最後は、
私をスープにして飲んでください。
砂漠の赤い月のしたで、
深海魚に片足を食われています。
痛いより重い、
お母さん、こんなに敷居が高いとは、
始めて気がつきました。
見えないから形を知る。
見えないから、
見えていないのではなかった。
見えていないことは、
見えていることを離れられないだけだった。
墓地に座って薄暗く脅えている。
もう、どうしようもない。
山も、木も、獣も、この墓標も、
私が作リ出した、
消しゴムで消せる現象でした。
これから、
愛と書いて消せないならば、
海を削り、
メモ帳へ投身します。
消しゴムで消せない名前、
私を受けとめた人達の胸の内へ。
選出作品
作品 - 20171011_539_9956p
- [優] ありがとう、ごめんなさい、許してください、愛してます - 北 (2017-10)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
ありがとう、ごめんなさい、許してください、愛してます
北