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作品 - 20170925_321_9918p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


恋の詩

  霜田明

今日の予定をすべてふいにして
一日中 目を覚ましている
観葉植物のふりをしていれば
切れた蛍光灯の代わりになるだろう

いつか君になることを願っていた
部屋の中で遥かに広い傘をさしたかった
顔を洗えばそのことが
君の長い髪の毛を濡らしていたらよかった

歴史以前そうだったように歴史の水は死んでいる
誰にも勇気がないのに切石を積み上げたように
偉大さだけが残されている

故郷のない僕らにとって低俗さとは何か
低俗さを知らない僕らにとってあこがれとは何か

開けた窓を隔て相対した僕らが互いに成り代わることでしか
爽やかな風を感じることはできないだろう
無口でなければ軽はずみにしか歩けないほどにまで
僕らの受容精神は荒廃しきっている

今日の予定をすべてふいにして
僕は一日中 耳を重ねている

僕らは一様にそう決められてしまう
憂鬱の中にはいなかった
時間の長さにも空間の広さにも
それらの距離の実感覚に
僕らの生活は救われ続けていたから

文学極道

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