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作品 - 20170906_117_9890p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


悲しいからこの眼球を、抉る

  いかいか

あまりにも、
深い、悲しみが、
流れるから、
この、眼球を、抉る、
また、新しい、
悲しみを見ないために、
外に、
世界に向けて、
流れない涙が、
一筋の、
川と
なって、
私の、
暗い内側に、流れて、
「出ていく」(どこに)
のを、
ずっと、見つめている、
姿が、遠くから、
裂ける、

川上には、
小さな集落があり、
夏の夜に、
蛍の、ように、
光る、
松明を、
もって、祓う、
姿に、潜っていく、
私の。悲しみが、
私の内側を、通って、流れ出る、
間に、出会う光景を、
追っている、
毎晩、

その、集落には、
祓い、の、後に、
男達だけが、
より集まり、
蝿のような、音を、出しながら、
女に求婚する、
女は、剣をもって、
恋人の、
結った髪を、
切り、口に含み、
男と、
口づけをする、

つまり、私の、
詩が生まれでる、
この、故郷に、

中流では、
流れ出るかなしみに、
花を投げ込み、
人の一段に出会う、
誰かが死んだ日に、生まれた、
子供は、幸せを約束された、

喜んで、花を投げ込む、
そして
死んだ彼または彼女も
最後に投げ込む

もう、詩を読んでも、
悲しみがない、
悲しみは、
逃げ出した、
僕をおいて、
遠くの戦争に、
異国の荒々しい言葉の中に、

だから、昔、ぼくは書いた
今日、日本語から、一切のかなしみがなくなると、
悲しみは流れているが、
もはや、君や僕の、
詩や、言葉の中には、
悲しみはない、
流れていくものは、
とめれれない、
掬うこと、で、口をゆすぐ、
また
渇きは、
消えない

文学極道

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