わたしには拇指か人差し指がない
あるいはどちらもなくて
なにか余分なものがついただけ
なのか
ワン・ツー、ワン・ツー
上り坂 下り坂 踏切
こんなとき
近づけば近づくほど苦しい
ワン・ツー、ワン・ツー
ワン、ツー、ワン、ツー
帰宅後こっそり
汚れた下着を見た
昔いろんなものがなくなったときの気持ち
それは
親戚が買ってきたドーナツを全部
弟に食べられた日のような一時的な虚無
それもきっとうまれたときからのもので
上履き、筆箱の中身、食卓、
そしてさっきまでの純白だって
もう戻ってこない
わたしにたりないもの
あるいはなんにもなくて
余分なものがついただけ
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選出作品
作品 - 20170901_980_9876p
- [佳] 拇指 - sonetira (2017-09)
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拇指
sonetira