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作品 - 20170808_378_9836p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


厩舎に散る種の名は 収穫

  鷹枕可

誰か踏む
街角の影
哨戒機が巡邏する
天窓より見下す
花束を燃えゆく
第三面会室の門扉
その人体建築
昼を乾く向日葵
瑠璃藍青の蜘蛛窓に檸檬が繭の花が繋る

睡眠薬を
白砂糖の睡りを
疑り
草花を翼と見紛う
褥の影像が延展される
慈善と慈悪
その別ちがたき
黄薔薇の肖像写真に
銀錆腐蝕の花被は磔像を跪かず
修道、葡萄樹を厭う

総てを市民権を略奪されては
踏み拉かれた
水晶体内の巧緻修飾その衣類を
偶像と看做す
唯物的想像下に於いて
精神病たる私は
飽く迄も種的逃避に外ならない

薔薇と遭遇、
巡礼者が帆立殻を
偏執的片眼鏡に観察する時
静謐静物の像と看守は
一握りの塩粒の整流濾過壜を電燈として

書簡には
綺想幻想動物の骨格が
普遍鉱物の繊細なる機微を寧ろ恩讐より隔絶し
機械史の乳房は
蒼醒める胸像に死の赦しを
懸架し已まず

暴風霰打つ邸宅建築の丘に
私達の髑髏が離れてゆく様に

文学極道

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