大きな星空は三つ
小さな星空は 無限個あった
きみたちのうちのひとりが
それは 可算無限?
と 尋ね
三つの大きな星空が
分からない と 答えた
また別のきみは
星空を数えるための単位 を つくり
わたしに 耳打ちしたから
わたしのなかにまた
小さな星空が生まれた
きみたちは
あらゆる方法でわたしに
小さな星空を埋め込んでいく
だからわたしは
星空でいっぱいなのだ
きみたちは三つの大きな星空
の 境界 を
同値関係で貼り合わせ
ひとつの《かたち》にした。
きみたちは それを
名付けようとはしなかった
いつも
「あれ」
と 呼んだ
「あれ」
三つの大きな星空では
《波》が 絶えない
から 小さな星空へ届けることが
きみたちの仕事だった
届けられた《波》は
音楽や
絵画になる
そのあわいできみたちはみたされ
漂う くらげのようだった
きみたちはどこから来て
どこへ行くのだろう
きみたちのうちのひとりが
消えてしまうとき
結ばれた 三つの大きな星空は
一瞬
《かたち》で なくなり
《波》が
《波》の まま 漏れ
残されたきみたちのあいだを
ゆっくりと伝播していく
最新情報
選出作品
作品 - 20170801_765_9810p
- [佳] units - 完備 (2017-08)
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完備