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作品 - 20170701_318_9719p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


未だかつて文学が知らない言葉で

  選者

つま先立つ
弟よ、
お前の、開かれた、腹に、
残った異国の、
黒い肌の、男の
息と、少しだけの、
精液が、
熱い、

白鳥は、
歪な、造形で、
垂らす汗を、
飲む、
口は、
内臓をひっくり返した、
愛は、
日曜の、午後に、
干からびて、
死ぬ
たった一週間の、
破滅的な息子の、
生、
思い出せ、
エイリアンの、
銀色な、青春に、
垂れる、
水銀の、
歌を
雨の、様に、
してほしい、

または、
風のように、
してほしい、

子宮外生命体、
われら、ツチノコ、

私が叫んだ、
ゾワゾワが
ゾワゾワ集まった、
だから、私はモゾモゾした、
モジモジが、
背中を伝って、
つま先立てた、

七日目
足元に出来た、
水溜まりで、
髪を洗う、
はじめて生んだ子を、
初めての、
叫びへ、
呼ぶために、
また、三日目に
はらわたから、
生きている、
ことを、抜く

恐ろしい、
政治を始める、
ために、私は、
獣の、
信仰を、飲んだ、
四つ足は、
獣の、様に、
しか、
顔を、上げられない、
幽霊だ、
亡霊だ、

「ひどい重力だ
「瞼が開かない、
「ほどに、かなしい、
だから、目を捨てる、
見ることを、
書くことに、垂らす、
まるで、涎みたいに、
欲深いね、
涎には紛い物の、
か 神が宿る、
だから、
人類学者は、
祈る、
破滅的な、
息子に、
しご?
私語、
私の語は、
すでに、死んでいる??
いや、私という語、が
すでに、死んでいた、
起源はすでに、
失われ、
文学的に、
純化された、
私や、
言葉だけが生きている、
つまり、神が宿った後の、
言葉に、
悪魔を、呼び込む、
神によって、焼き払われた、
化膿性が、
一つ、
また、一つ、と、
水ぶくれ、て、
弾ける
「人だよ」
「臭うね」
「人の臭いだ」
「神が化膿した、可能性の一つだよ」
「たがら、ひどく臭う」
「重力の、起源は、これだよ、」
「窒息しそうほどの、人の臭い」
「神が焼き払いまた、焼き払われ、焼きただれた 」
「化膿し、膿が」
「人だ」
「恐ろしいほどに、人だ、人の臭いだ」
だから、私は
はらわたから、
生きている、ことを、
抜く
すでに、
わたしは
言葉として死んでいる、
死語だ、
私語、
私の言葉は、
文学的に純化されて、
死んだ、

何度言わせるんだ!!

雨と共に泣くな、
風のように、悲しむな、
火のように、別れて、
雷のように、
出会った、
あの頃を、
「思い出せない、」
砂漠は好きか、
雨に、打たれるのは、好きか、
誰ももう、私、の、言葉を知らない、
ほど、遠くに、
行きたいか、
文明はない、
なぜなら、わたしを、
うしなったからだ、
松明はない、
言葉を、消すように、

私がまだ、灰の様に幼かった頃、
暗い両生類は、
冷たい出来事を、
「襞」と告げ、
私は、
それは
「弟」か、
または、
「雨のように濡れる」と、
言い直した、
生活の様に、
深く浅い場所に
入り浸る時、
「漏れていくもの」を
「僕」とは言わない

あの、夜、
私の、庭を横切った
雨は、
「帝国」
崩れるように、
風は、
頬を切った、
熱い、
季節は、
まるで、血のように、
沸き出て、
「戦争」へ
この、慈悲をめぐる
残虐な、
国家に、
僕は、今おりていく

(死んでいく、
それも、ぼろぼろと、
零れ落ちて、
またさらに、
死んでいく、ことに、
生きて行くことが、沈んでいくのだ
私が、砕かれ散らばる、
神が散らばる、
あちらこちらに
砕かれた私が、
私から、神が同じように砕かれて散らばる)

獣、神から生まれなかった可能性の一つ、
化膿しなかった、傷、
乾いてしまったままの、
私が、
捨てられる、
深い、
溝、
言葉とわたしを唯一投げ捨てられる、
または、隔てる、
谷、

消えてしまえ、
すべての、
悲しみと、と共に、
言葉たち、
いつか死んでしまう、ことから
生きている、ことを、
削り出す、
獣ように、爪で、
私が、貴方を生きられないように、
貴方も私を生きられない、
「人だよ」
「どこまでもひどく人だ」
「言葉に追われて」
「かなしいか」
「あまりにもかなしくて」
「泣くことよりも早く言葉がでる」
「それも、尽き果てることなく」
「私はあまりにも純化されてもうどこにもいない」
「はず、なのに」
「」呼ばれる
「幽霊に?」
「」悪魔に?
「人に?」
「かなしみだけが」
「広がる」
「どこに?」
「魂も同じだよ」
「あまりにも純化されて」
「私たちは所有できない」
「違うよ魂がもはや、私たちを、私を、所有できないんだ」
「」

広がる、
私が再現なく、
際限なく、広がる、
どこに?
どこにも、
だから、かなしい、

政治、
獣のように、
這いずり回りながら、
涎を垂らし、
私を濡らす、
消えないように、
濡れて、滲む
それ以外にない、
生きのべるすべはない、


私はいるだろう、
あまりにも、
悲しみに満ちてしまっているから
中身がなかった私が悲しみに満ちて、
中身が埋められる、
悲しみで埋める、
ようにして、
私を中身に埋める、

私はいるだろう、
いや、いるようでいない、
いないようで、いる
ようにしか、もう
人と言う、
概念は、底が抜けていて
私はいつも、
底から、漏れ落ちる、
だから広がる、
獣が、それを舐める、
乾きを癒し、
また、涎を垂らすために、
尽きない言葉が、
尽きない悲しみにかわる、
人だ、
ひどいくらいに、
人だ、
だから、なに?
なに?なに?
人の焼き焦げる臭いがする、
だから、
人だ、
うるさい


「重力が晴れるね」
「重力が晴れるとどうなるの?」
「人であることも晴れてしまう
それどころか、すべてが飛びさってしまうよ
 かなしみも、喜びも何もかもが、空気も山も、
 私以外の何もかもが、そして、私自身すらも、
 飛び去ってしまう」
「だから、獣になる?」
「それでもなお、しがみつくために、這いつくばるために、
 飛び去ってしまわないように、何もかもが飛び去って
 失われても」
「獣には何が残るの?」
「輪郭だけが、何もかもが飛び去って、入れ物だけが、
 獣として残るの」
「獣は晴れない?」
「決して晴れない」
「人であること、あったことは、そんなにかなしい?」
「かなしいから、獣になる」
「なにもかも忘れて、失って、それでも、しがみつき、這いつくばる
 四つ足で、獣になって、叫ぶの?」
「そうだよ」
「だから、政治をする、姉のように、弟のように、妹のように」
「長く人ではあったが、一度も私は私じゃなかった」
「私は私でいられなかった」
「どこ?」
「だれ?」
「あなた?」
「わたし!?」

また、焼け焦げる、
臭いがする、
人だ、
でも、私は、

いつか、
人であることも、
晴れしまう、
その前に、
私は、

神は、
獣は、
政治をしない、
人は、
政治をする、
政治とは、盗まれた、
炎だ、(何から!?)
人であることすらも、
(私であることすらも)
「貴方でないことすらも、
誰かでもないことすらも、
何者でもないかもしれないことすらも、」
焼き払う、
眼も、
耳も、体も、
魂も、心も、
焼き払うための、
炎だ、
「つまり、地獄だ」

人であることが、晴れますように
あらゆる、人々が、
あの、まだ、幼かった灰の頃の様に
つまり、地獄を思い出しますように
だから、「私は、」

文学極道

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