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作品 - 20170426_274_9571p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


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  三浦果実

ハンマーの音が
耳を悪くしたとして
僕らは
悪く言うものはいない
シャフトがグリス切れして
異音が続くとして
僕らは
悪く言うものはいない
例えば不思議なことが
目前であっても
どうでもよくなるのが
僕らだ

例え話として
一匹の蜘蛛の話をしよう

現れた一匹の蜘蛛はこうだ
天井で
点滅する赤
チカチカ張り付く蜘蛛

天井の片隅にも
いるかもしれないような蜘蛛
膨大な世界のすべてが
集積回路に組み込まれている
微細な塵ほどのサイズで
赤い点滅は情報を処理している

チカチカ蜘蛛から
キラキラした糸が拡散する
チカチカ蜘蛛とキラキラ糸
糸のケーブルに
からめとられた僕らの頭脳を
端末が侵食する
踊りだすと止まらなかった
喜び尽くしてしまう
悪い気持ちでもない
そしたらね
そっときこえてきたんだ

片耳が聴こえないの

健気さが伝わってきたから
人の話を聞いていないこと
気にしないでと伝える

いつも持ち歩いて
外へ抜けだしたら取り出す
吹いてみれば
しゃぼん玉のなかに
蜘蛛がいる

文学極道

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